ELENA TUTATCHIKOVA

A Garden

映像(4分)、2013年

自身の制作におけるモンタージュのことを、時間のモンタージュとして私は考える。「A Garden」という映像作品は、その一番明確な例の一つである。

この作品は、二つの映像から構成されている。一つは、モスクワ郊外にある、大学の教授や友人が夏の家「ダーチャ」で過ごした風景を撮影した映像である。もう一つは、かつて私が日本で住んでいた家の前にあった庭の木に、夜、前者の映像を投影し、その光景を撮影した映像である。この二つの映像が、交互に映し出される構成になっている。つまり、この作品は、二種類の過去をモンタージュした映像作品である。

前者の、ストレートに撮影されたホームビデオのような映像における「過去」は、かつてあった出来事の純粋な記録としての過去である。このような「過去」を、「単純過去」と呼ぶことにする。

後者の映像における「過去」は、二つのレイヤーが重なることにより、客観的に「かつてあった」過去の出来事ではなく、物理的な現実として存在しなかった架空の風景としての「過去」である。しかし、この後者の「過去」は、「架空」のものであるにも関わらず、記憶という一つの「リアリティー」の構造を描写するものであると考えられる。

この作品は、直線的なナラティブとしてではなく、全ての出来事(あるいはその断片)が多重のレイヤーのように、常にある種の「現実」として存在している、より複雑な構造を持つ記憶を可視化しようとする試みである。