8.2020 Elena Tutatchikova Project | エレナ・トゥタッチコワ 企画
Dialogues With Water: Kyoto Waterscapes I
水との対話: 京都ウォータースケープス

常に変わらないようにあるのだが、絶え間なく変化しつづける水。気候変動がもたらす自然災害といった、私たちが今生きる世界の特有の問題を内包すると同時に、水は、人間と地球の関係性を表す最も普遍的な、原始的な意味を持つ、風景において最も謎が多い現象ではないでしょうか。自然と人間の関係、風景をめぐる想像力、そこから生まれる物語、それを全て抱く象徴と言えるでしょう。このプロジェクトは、世界の様々な水と対話をするべく、2020年夏からスタートします。

京都では、水は様々な意味を持っています。川の水、疎水の水、庭園の水、井戸や銭湯など生活の水、豆腐屋など産業の水。物理的に異なる流れとして現れるのだが、文化、地理、また表現として、水は様々な形として表れます。

「Kyoto Waterscapes I (京都ウォータースケープス I )」とは、水と音と歩行をキーワードにしたワークショップシリーズです。2019年4月以降から、アーティスト、エレナ・トゥタッチコワが主催するカモガワ・フィールドワーク・ラボラトリーとして取り組んでいるリサーチ·制作活動をさらに深め、京都の音環境·音風景の調査を続け、京都のサウンドマッピングをします。参加者と共に歩き、共に学びながら、フィールドレコーディングやサウンドアートの先へと、音を通して風景をめぐる想像力、風景が持つ物語を探ります。

このワークショップシリーズでは、様々な分野の専門家をゲスト講師としてお招きし開催します。
この度は、川崎義博​(アーティスト、音文化研究者)、柳沢英輔 (映像人類学者、フィールド録音作家)、大田高充(美術家、サウンドアーティスト)、エレナ・トゥタッチコワ(アーティスト)を講師として、3回のワークショップを行います。

ワークショップの参加者には、共に制作に取り組んで、作品を作っていただきます。8月に開催するワークショプの成果は、主にオンライン(本プロジェクトのウエブサイト )にて発表する予定です。

8月 ワークショップスケジュール
8月8日(土)音の足跡、音の形(講師 柳沢英輔、大田高充、エレナ・トゥタッチコワ)
8月23日(日)ウォーターダイヤリーズ: 水と音と言葉(講師 エレナ・トゥタッチコワ)
8月30(日) 京都の水と文化を探る:京都の庭園と水 (講師 川崎義博)

共に歩き、音に耳を澄ませ、学び、作品を作りましょう。みなさまのご参加をお待ちしています。

* 本事業は「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う京都市文化芸術活動緊急奨励金」の採択事業です。

詳細→
https://dialogueswithwater.org/


20.5.2020 (Wed) - 7.6 (Sun) Solo Exhibition "Walk In Progress" 

この度、光兎舎ギャラリーではエレナ・トゥタッチコワ個展「ウォーク・イン・プログレス」を開催します。
トゥタッチコワは現在取り組んでいる歩行や作品制作のプロセスをそのまま展示空間の中へ展開し、普段のスタジオでの制作のように日々少しずつ変化させていきます。展覧会の中心となる新作ドローイングのほか、過去の映像作品などもご覧になっていただけます。

会場 | kousagisha gallery 光兎舎ギャラリー (京都市左京区浄土寺上馬場町113 木のビル1階)
日程 | 2020年5月20日 (水) ~ 6月7日 (日)
open | 12:00-19:00
closed | 月·火
作家在廊日 | 毎週土日在廊予定
※ 展覧会の観覧は予約制とさせていただきます。ご予約は kousagisha@gmail.com までご連絡下さい。作家在廊日は予約不要です。


歩くことは、開かれた外部の世界での身体経験で、想像する経験である。歩く人の中には世界認識が常に再構築され続けるのだが、同時に歩く場所の意味も変わっていく。日々の当たり前の、無目的でも確かな歩くという作業を通して、人間は世界に対して自分の態度を表しているだろう。そしてそれを言葉や音、料理や絵画など、様々な形で表現する。私にとって作品制作は必ず歩くことから始まり、またその途中にある。歩き、考え、知り、想像し、生活や制作に繋げていくことは、日々のアートではないか。こうして、日々の作業を通して表現する、つまり何かを与えることで、生きるための生命力を世界から得るという、生命力の循環が生まれるのだろう。
今回の展覧会は、いつもと変わらないリズムで、歩きながら、作りながら、毎日少しずつ変化させて行く。
家からギャラリーまでの道のりもスタジオになり、またスタジオとなるギャラリーに着くと、歩いた道をもう一度辿る。手を動かして、線を引いていく。これは私と世界とを繋ぐ地図作りである。
たとえ世の中は移動が制限されても、歩いてきた道はみんな、私の頭の中、体の中に生きている。その経験を持って、思考し、想像することは無限であり自由なのである。日々の当たり前の作業をコツコツと続けて、未来と繋がり、歩き続ける。

エレナ・トゥタッチコワ

©︎ Elena Tutatchikova 2023