With My Dinosaurs
video (14 min.)
2016
真夏の光が長い日が続いていた。
このような日は、朝がいつもより長く感じる。昼過ぎは、川が次の川へ流れるように、一つの営みが絶え間なく次へと続く。夕暮れは、のろのろと、やる気がないかのようにゆっくりと訪れるのだが、焚火をやり始めてしばらく火を眺めていると、もう夜になってしまう。
毎日、昼の暑さがおさまると、子どもたちは川へ行った。まず村を通り過ぎ、 窪地を渡った後には道路があるのだが、その道路を渡って草原を超えたら、 川がある。両岸には、木々や草が高く茂み、柳の柔らかい枝が映っている水面が真夏の全ての木々を吸い込んだかのように深い緑に輝く。
サーシャはこの夏に初めて川を泳いだ。流れが早い川だったが、川底が近く、岸に沿ってしばらく歩けるのだった。ふと川底の泥に足をやると、何か丸いものに触れた。サーシャはもぐって、不思議なほどまるい石を取ってきた。「お父さん、これは何?」と尋ねると、「何って、恐竜の卵の化石に決まっているでしょう。」とお父さんは答えた。サーシャは、はっと息を飲み込んだ。今まで、恐竜のことを、本棚の一番高い段に秘めたあの大きく重いアルバムの中にしか見たことがなかったのだ。
夜、みんなが庭で集まりお茶をしていたとき、サーシャは焚火を眺めながら呟いた。「なんで人間は老後について、悩んだり不安になったりするのだろう...どうせ生まれ変わるじゃない。」そしてもう少し考えて、お父さんに聞 いた。「私たち、もう一度生まれるのって、いつ? 百年くらい後かな?」「それは誰も知らない。神秘だから。」とお父さんは答えた。サーシャは黙り込んで、しばらく考えて、また尋ねた。「つまり、ちょうど今頃恐竜たちが生まれ変わってくる時期なのね?」 この発見に嬉しくなって、サーシャはもう一度、川で見付けた恐竜の卵の化石を見に行った。
朝起きた時、部屋は窓から流れる光—黄金や白、エメラルド色や青に輝く柱のような光—に溢れていた。「なんていい朝だ」とサーシャは思った。「ちょうど今日は、誰かがまた生まれるでしょう。」高いベッドから飛び降りて、サーシャは裸足で庭へ走っていった。
©︎ Elena Tutatchikova 2024